自閉症児特有の「飛び出しお出かけ期」について 4

 『発達障害当事者研究』(綾屋紗月+熊谷晋一郎)の中で、
アスペルガー当事者である綾屋さんも、
 「そもそもコミュニケーションにおける障害とは、二者のあいだに生じるすれ違いであり、その原因を一方に帰することのできないものである。たとえるなら、アメリカ人と日本人のコミュニケーションがうまくいかないときに、「日本人はコミュニケーションに障害がある」というのは早合点であろう。」と書いています。
 つまり、当事者研究(当事者が自己を語り研究すること)により自閉症そのものの理解が進み、深まっていけば、コミュニケーションのギャップ(溝)は、小さくなってゆくと考えられます。今までは、健常者からの一方的な見方だったのが、当事者という通訳者を得て、相互に理解が進む道があることが分かってきたと言えるでしょう。
 ですから、なるべくこの方法をとってゆきたい。活かしてゆきたい。そうすると、「行き詰まりの状態に陥りやすい」の記述も、あくまでも、私たちの側から観た一方的な見方かもしれない。じつは、「私たちの(自閉症に関する理解の)『行き詰まり』でもある」ということが、理解されますでしょう。
 従って次回は、自閉症児と私たちのコミュニケーション(相互作用としての)という視点から、私たちが、彼らとどう向き合って、あるいは、どんな態度で、関わってゆけばいいのかを探ります。