自閉症児特有の “飛び出しお出かけ期”について3

「行き詰まりの突破」が「飛び出し、お出かけ」の最初の動機と言えます。そして、一旦、この関連づけがなされ、心地よい結果(お菓子が手に入るとか、開放的な気分になるなど)が得られれば、常にその機会を伺うようになります。
 では、私たちはどうすればいいのでしょう? 対策と称してその場しのぎで「物理的に出られない化」したり、「監視強化」だけに終わってしまわないためには、何が必要なんでしょうか?
 この問いに答える前に、少し考えてみます。「行き詰まりの突破」に向けられた自閉症の子の行動は、私たちの想像を超えた次元に達することがあります。「まさか、こんなところから出てゆくとは思わなかった」「こんなところまで歩いていくなんて」あるいは「あんな高いところまで登ってしまうなんて」と私たちや親御さんは何度飛び出しやお出かけの直後、感嘆したことでしょう。(こういった感嘆は、日本中でいや、世界中で繰り返されているはずです。世界中の一人でも多くの関係者とつながり、共有してゆく必要があります。)
 ですが、別な見方をすれば、すなわち行動面だけからみれば、決して異常な行動ではないことに気付きます。だって自閉症でない子なら「お母さん退屈してるし、お腹すいてきたから、コンビニ店に行ってアイス買って来るね」とひと言言って出て行くだけなんですから。
 では、このひと言が言えないことが、自閉症という障害の成せる業なのでしょうか?確かに、自閉症の三つ組みの障害とは、「社会性」「コミュニケーション」「想像力」の質的な差異。これらが認められると自閉症と診断されます。だから、「自閉症児はコミュニケーションに障害がある」という言い方がよくされるわけですが、これは、じつは正しくないと私は思っています。