自閉症児特有の「飛び出し」「おでかけ」期について 2

自閉症の子は、なぜ、「無鉄砲な」飛び出し、お出かけ
をするのでしょうか?自閉症でない子ならば、ありえない行動をとるのは、なぜでしょう。
 自閉症の本質は、編集機能の障害です。だから、自閉症の子の思考の特徴は、【直列】です。一方、非自閉の思考は【直列】【並列】両方可能です。
 【並列】思考とは、単純に言えば、チワワや甲斐犬ゴールデンレトリバーやパグ犬などをまとめて「犬」だと理解することです。
 ピタゴラスイッチ系の歌に、『ボクのお父さん』があります。「お父さん、お父さん、ボクのお父さん、会社に行くと会社員、電車に乗ると、通勤客、食堂入るとお客さん、歯医者に行くと患者さん、、、、」同じ人物が、次々に名を変えてゆきますがこれらすべて同じ人物ぼくのお父さんです。これ、並列思考です。
 自閉症の子は、【並列】思考が苦手です。と言うか、基本的に【直列】思考と言えます。これが、認知発達の初期の段階から始まりますので、かなり、独特な発達過程をとらざるを得ません。
 【直列】思考は、一対一が基本です。なので、認知発達の初期の段階にある自閉症の子の行動面は、延々と同じことを繰り返すか(常同行動)、即、行き詰まって、落ち着かないか(多動)のどちらかになりがちです。
 また別な言い方をすれば、直列、一対一の思考では、「全体性」を形つくることが困難です。場当たり的な行動をとらざるを得ず、うまく適応行動をとれないので、当然、情緒的に不安定になりやすいです。言語による理解は、不完全で、限定的なものにならざるを得ないので、畢竟、視覚優位の状況で、一対一の関連付け(例えば、窓が開く→外に出られるというような)をせざるを得ません。
 このような、自閉症児の一連の認知、行動面の特徴は、情緒面の不安定さと相まって、「行き詰まりやすさ」として現れます。だからこそ、行き詰まりを何とかして突破したい衝動に駆られやすいと言えるでしょう。このような状況で、視覚的に外の世界に出られることが経験できれば、いつでも、外に出ようと準備のできている状態の子が誕生するというわけです。
 「行き詰まりの突破」が「飛び出し、お出かけ」の最初の動機と言えます。そして、一旦、この関連づけがなされ、心地よい結果(お菓子が手に入るとか、開放的な気分になるなど)が得られれば、常にその機会を伺うようになります。
 では、私たちはどうすればいいのでしょう?